70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

『注文をまちがえる料理店』小国士朗 著 まぁいいか、と許すことと許されることの幸せ

コンセプト

須磨寺の小池陽人さんの法話で紹介された本です。

テレビ業界の人が異業種の人を巻き込んで作った、

認知症の人がホールで働くレストラン。

短期間のプロジェクトの企画から実際の反響までの物語です。

 

レストランのコンセプトは

まちがえることを受け入れて

まちがえることを一緒に楽しむ

認知症を抱える人」が接客をする

不思議であたたかいレストランのものがたり

 

モットーは

忘れちゃったけど

まちがえちゃったけど

まあいいか

 

認知症の方に寄り添う家族や施設のスタッフ、

その現状と気持ちがていねいに綴られています。

だから認知症当人の気持ちも想像でき、

自分の周りの人が認知症になったとき、

そして自分に認知症の兆しが出てきたときの

対処法なんかの参考にもなると思いました。

 

小国士朗さん

著者の小国さんはテレビ局のディレクターとして激務を続けていて、

心室頻脈の発作に見舞われます。

それ以後働き方を見直さざるを得なくなり、

映像になる種を探し企画する側になります。

介護業界30年の和田さんに取材で知り合います。

和田さんの認知症の方にもできることはしてもらう、

生きる意欲を大切にした介護に共感していきます。

そして「注文をまちがえる料理店」の構想を温め、

異業種交流会でプレゼンします。

そこからどんどん話が進んでいきます。

 

認知症の人が苦手なこと

「もう一度働きたい」

「もう一度ピアノを人前で弾きたい」

という希望を叶え、失敗しても笑って受け入れてくれる、

そんな寛容な場ができます。

でも問題がないわけではないです。

認知症の人は

・空腹や寒暖などを我慢できない

・他人の気持ちをおもんぱかることができない

・疲れると機嫌が悪くなる

・周囲に気をつかうことができない

 

そんな特性があることを十分理解しないとなりません。

 

こういう理解はもっとたくさんに人が理解する必要があると思います。

 

安心できる場所

認知症になって職場でミスを指摘された人は

「ここでは誰も叱らないから気が楽」だと笑顔を見せます。

知的障害があって他人にすぐ声をかけてしまう青年も

ここでは誰からも笑顔を返してくれるからうれしそうです。

 

そういうゆったりとした優しさにあふれた光景が、

メディアに取り上げられ外国でも注目されたそうです。

この試みは短期で、これからも年に1、2回やりたいと書いてあります。

認知症や障がいを持った方が恒常的に安心して生活できる場所のため、

たくさんの人が心を砕いている一つの例となったのでしょう。

 

 

まぁいいか

仏教でも善悪とか正しいか間違いか、そういう二元論を排除します。

自分が正しいと主張すると、違った意見の人は間違いだとして諍いがおきます。

自分の方が偉いと思ってみても、その自分より偉い人だって必ずいます。

全部は相対的ですし、自分の中にさまざまな面も持っています。

ミスをしてもまぁいいかで受け入れ、

自分のミスも許されたらもっと生きやすくなります。

ミスをしないように気をつけますが、

ミスをしてもこの次は気をつけよう、

そんなくらいで生きていこうと思います。

それができたら、幸せにいきていけそうだから。

 

認知症はこれから誰もが向き合う病気です。

家族としてそして自分自身の問題としても。

 

 

 

この本はそんなときの心構えも教えてくれました。