70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

【音訳と朗読の違い 】 音訳は自分のためではないので、おもしろくなくても読みます

新人さんの質問

先日の音訳中級講習会で新人さんが質問しました。

「そもそもなんですけど、音訳と朗読に違いって何ですか」

初級講習の時にもそのお話はきっとあったと思うのですが、

講習会で勉強していて、また疑問が湧いたのでしょう。

ただ読むだけでなく、ルールがたくさんあるからです。

意味を伝えることにかなり細かい技術が必要だと教えられます。

初級では正確に、伝わる読みが求められますが、

中級では意味のかたまり、相手に受け止めてもらう、転調するなど、

音訳表現の技術の話が中心になります。

 

先生は

朗読と音訳はかなり似通ってきているけど、

音訳では自分の世界を作ってはいけないのが違うと説明されました。

中途失明の方が大好きなシリーズものの小説を録音図書で聴いて、

「こんなにも自分のイメージと違うのか」と驚いたそうです。

小説など読むときにも、利用者さんが自分のイメージを作れるよう、

わりと淡々と読むように言われます。

朗読では読む人が自分でイメージを作って作品を作り上げます。

その辺が朗読と音訳の違いなのでしょう。

 

読みたくないものも読む

私が後から考えていて思い当たったのは、

「音訳は読みたくないものも読む!」です。

朗読では自分が読みたい作品を選ぶことができます。

そういう楽しみで朗読をする方も多いのではないでしょうか。

音訳では主体は「読むことに障がいを持つ利用者さん」です。

特に広報類は、それまであまり真剣に隅々まで読んでいない記事を読むことになります。

いろんな申込みを、項目毎に同じ申込み方法を繰り返し読んでいると、

コピーでいいんじゃない、と思ってしまいます。

毎号同じことを読む場所は、前号のを使い回ししたらいいのでは。

最初のことはそんな風に思うほど、おもしろくない繰り返しがあります。

でも、利用者さんの立場では部分部分で読む人が違うつぎはぎが

聞きやすいわけではないです。

配られた広報が、目が見える人が紙面を広げて読むように、

新鮮でまとまった正確な情報として伝わること。

それが音訳に求められているのでしょう。

それでなくては合成音声のAIに、取って代わられてしまいます。

文脈を読み取り、意味のかたまりで読むことはAIにはできません。

それが人間味のある暖かい音訳になるのだと思います。

 

録音図書でも

本を読む場合も、自分の好きな本を読むわけではなく図書館の依頼です。

ベストセラー本は他の図書館でも作るので、

郷土資料とか地域に関連した著者の本が選ばれます。

出版される本に比べて、録音図書はまだまだ数が少ないです。

子どものための本は是非たくさん音訳して欲しいそうです。

週刊誌や雑誌も需要があるようで、依頼されたグループが作っています。

講習会の先生は週刊誌のグラビアを担当してそうです。

聞いた話では官能小説の需要が多いけど読む人が少ないとか。

昨日の講習会では、漫画とか劇画の音訳処理を学びました。

漫画とか劇画はこれからも増えるし、AIではできない分野です。

音訳の需要は増えますし、仲間も増えて欲しいです。