70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

岸恵子さん 凪良ゆうさん 恋とか愛とかよりも 日常生活に心を寄せて

『わりなき恋』岸恵子

マリコ書房で林真理子さんが岸恵子さんの自伝を紹介していました。

岸恵子さん自体に興味を持ったので図書館でリクエスト。わりなき恋』というシニア女性の恋を描いた小説を借りました。

 

林真理子さんはこの小説を評価していました。

でも私はあまりおもしろくなかったのです。

ヒロインは私と同じくらいの年代ですが、バリバリに仕事をしています。

そして一回り年下のビジネスマンと恋に陥るのですが、

絵空事のように思えるのです。

あまりに教養がありすぎて、

食事やお店の描写もセレブすぎて私の実生活と違いすぎます。

たぶん岸さんの生活は、こんな上質な生活なんでしょう。

 

恋する気持ちのヒリヒリする場面もあるのですが、

一緒になって心が動くことがなかったです。

 

 

『わたしの美しい庭』凪良ゆう著

凪良さんは現代の若い作家さん。

これもマリコ書房で紹介されていました。

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本屋大賞を受賞した『流浪の月』はリクエストが多すぎたので、

『わたしの美しい庭』が先に来ました。

 

なさぬ仲の家族の話です。

ゲイの人とか40歳近い独身女性など、

生きづらさを感じる人たちが登場します。

そして、居心地のいい場所について考えさせられ、

何度も心を揺さぶられました。

世間体とか「普通であること」に自分の心をつぶされそうになる人たちの生き方です。

一見普通の人たちの一人一人が抱えている心の襞を、

ていねいに寄り添うように描いているのです。

 

岸恵子さんの小説は、普通ではない世界を描いていますが上等すぎて共感できないのですが、

この小説は日常生活と乖離していません。

 

 

『愛するということ、愛されるということ』加藤諦三

高校の時に読んで感動した本を、Kindle版で見つけて読んでみました。

心が柔らかいときに読んだせいか、価値観がひっくり返るほどの影響を受けました。

でも今読んでみるとなんて大げさな物言いなのだろうと思ってしまいます。

人を愛することは一生その人を愛し続ける覚悟がいるようなことを書いてあります。

「見合い」で結婚することは自分の生き生きとした人生を諦めることだとけなしています。

恋は一時の情熱ではあっても、それが長続きするものではない場合も多いです。

長続きする希有な組み合わせもあるでしょうが、諸行無常の原則から外れるものではないと思います。

愛だと思っても、それも永遠ではないです。

いろいろな恋や愛情の形があり、他人がそれをどうこういえるものではないと思います。

 

『堀文子 粋人に会う』対談集

 岸恵子さんも登場しているので読みました。

 『婦人画報』という婦人雑誌で連載されたもので、

日本画家の堀文子さんが各界の一流人と対談したものです。

ただの有名人では堀さんのお眼鏡にはかないません。

財界人でも文化振興に尽力していたり、

姿形のよい、見栄えのいい方達が選ばれています。

堀さんは東京のお嬢様育ちで上品です。

その方が自立して芸者さん達と一緒のアパートで暮らし始めるギャップのお話がおもしろかったです。

好奇心旺盛で、おもしろいと思ったらどんどん飛び込んで、

心からのお付き合いをしていきます。

女でも自立して自由に生きることを求め続けた堀さんの

変わらない上品さと美しさを追求する姿勢がよくわかる対談集でした。

大磯のお宅に伺いお目にかかったことがありますが、

お茶目で美しい思い出は私の宝物です。

 

その時伺ったお話、(記憶はおぼろですが)

堀さんは一度結婚されていますが、

恋とか愛ではなかったそうです。

戦争から帰ってきた方の体が弱いか何かで、

「私がお世話をしよう」というような気持ちだったとか。

戦争でご苦労された方への寄り添う気持ちからのようでした。

戦争に行かないで済んだ人間としての責任感のようなものを感じました。

すごい覚悟の人なんです。