プロローグに書いてあること
「人新世」とは新たに認められる予定(?)の地質年代名です。
数年前にこの造語を発案したのは、ノーベル賞受賞した大気化学者のパウル・ヨーゼフクルッツェン。
地球的な変化の要因としては、
・新しい鉱物が突然増えた
・核実験が残した放射性同位体が地球上の隅々で見つかる
・土壌に含まれるリン酸塩と窒素の高い濃度
・プラスチック公害
・コンクリート粒子
・鶏の骨
などがあげられています。
私たちが「貝塚」で昔の人の生活を想像するように、未来の人は「鶏骨」の堆積をみつけて私たちの文化と精神を省みることになるのかしら!!
人新世を生きる人類の体は既に変わり果てているが、それは進化のせいではなく、自分たちが作り出した環境に対する体の反応によるものだ。新たな科学的発見、新たなライフスタイル、労働パターンの変化、社会状況の変容、その他無数の変遷、改善、イノベーションによって、私たちが変えてきた環境もまた密かに私たちを変えてきたのだ。
環境問題は大きくて難しい問題です。
でも、環境によって不具合が出てしまっている私たちの身体への解決策はあるはずだというのが、著者の考えです。
この本には、そのための方法が書かれています。
歴史的に見た環境・労働・身体
この本では紀元前800万年の最初期の人類から遡っての歴史が丹念にたどられています。
主に生活のための労働が、身体に及ぼした影響、職業や身分による身体的特徴です。
それらは、興味深いですが詳細は省きます。
この本の目的は啓蒙です。
農業革命、産業革命、デジタル革命によって、人類の食性、労働、ライフスタイルに著しい変化がもたらされ、私たちの身体にそうした変化の痕跡が刻み込まれた。土踏まず(アーチ)が消え、腰痛や骨粗鬆症などが頻発するようになった。家畜化によって、薬剤耐性を持つ病原菌も続々と出現している。現代人はいわゆる「ミスマッチ病」になやまされるようになった。2型糖尿病やアレルギー鼻炎など・・・・・・
作物がかつてより大量の糖を生産するようになり、ほかの栄養素が減っているかもしれない・・・原因は複合的と思われる。著者に言わせれば、人新世のニンジンは私たちそのものなのだ。 (訳者あとがき)
この本では各部の最後に、この時代を生きる人々への助言があります。
忙しい現代人の生活にたやすく組み込める行動と活動の具体例です。
これからの指針となることをメモします。
第2部 紀元前3万年から西暦1700年 顎の変形と近視
対処法
・屋外に出て日光を浴びる
・もっと噛む 歯ごたえのあるものを食べる
・食後ではなく食前に歯磨き 食後は水を飲んでPHをもどす
・軽めの運動を長時間
第3部 西暦1700年~西暦1920年 長時間労働と大気汚染
対処法 かっこ内は私の感想
・脊柱と膝に良いのは早歩きとランニング
・スクワットや戸外に出るためのアプリやツールを使う(スマートウォッチとか?)
・一番大切なのは歩く 子供は外で遊ばせる(用事がなくても外に出て歩き回る)
・観葉植物を取り入れる(草取りの動機付けになる???)
第4部 西暦1910年~現在 人工的な環境で座りっぱなしの生活
カロリーを消費する機会があまりにも少ない
対処法
・活動的になって自然とのつながりを持つ
・自分と同じように腸(内細菌)にも栄養をあたえる (繊維質・発酵食品)
・骨盤を持ち上げる(ヨガでいう座骨で座る・正しい姿勢・座禅も)
・裸足の時間を増やす(家の中は素足で)
・最低でも一万歩歩く(私は7000歩が目標)
・動かさないと衰える
・痛いからといって必ずしも傷ついているわけではない (社会的心理的要因がある)
・座らないで立っている環境を作る(テレビを見るだけなら立っていても)
第5部 未来 人間の身体はどうなるのだろう?
現代生活では手の指先を異常につかっています。
スワイプ・タッチ・タイプでデジタル機器を使っています。
人類は手の器用さで進化してきたとも言えます。
この指にトラブルが多発しています。
「反復運動過多損傷」(RSI)
でも、音声入力などそれにとってかわる方法も、目の前に来ています。
わかっているのは、私たちの身体が徐々に動きを止めようとしていること。
コーヒーマシン・ロボット自動掃除機・各種リモコンなどなどを使う生活。
軽負荷の活動の継続時間を延ばすと「心血管代謝の健康と死亡リスクの低下」に大きな効果があるという研究結果がたくさん出ています。
自分でできそうなことをやるかどうかは自分次第です。
このとき問題になるのはお金です。
時は金なりという考えがありますが、生産性を求めるより自分の健康が大切という価値観を持つように。
スローライフもいいということ。
私が取り入れたいこと
この本を図書館が借りましたが、予約待ちが3人います。
急いで読んで、自分の取り入れたいことをメモしてみました。
読んでよかったこと。
ロボット掃除機の購入を考えていたのですが、やめる決心がつきました。
私は子育て世代でも、ワーキングママでもないです。
シニアの二人世帯、ものの少ない家で心を込めて掃除をします。
身体を動かすことを厭わないことが大切。