70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

【桜木紫乃】小説の面白さを堪能させてくれます 自分以外の人生を知るということ

桜木紫乃さん

林真理子さんが文章が上手いと褒めていた作家です。

ホテルローヤル』と『LOVE LESS ラブレス』

『ラブレス』で直木賞候補、翌年『ホテルローヤル』受賞。

私は全然知らなかったのですが、新官能派と呼ばれる方です。

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図書館で借りました

著者の桜木さんご本人がラブホテル経営者の娘で、

高校生の時から家業の手伝いをしていたそうです。

その時のホテルの名前が「ホテルローヤル

父親には殴られ母親からは愚痴のはけ口とされていたと語っています。

 

登場人物

作品にはご自身の家族をモデルにした方々が登場します。

そして舞台は桜木さんが今も住んでいる北海道です。

北海道の開拓者気質というものがあるようで、カラッとしています。

とても暗い話なのにどこか後腐れなく振り捨てて、前に向かっていくのです。

辛いこと理不尽なことがあっても、

「ゼロからまたやりなおす」強さがあるのです。

以前読んだ北海道開拓物語で、苦労して育てた作物が天候不順や害虫にやられて全滅という場面が良く出てきました。

報われない努力もあるのだという諦める体験をすることで、

諦めざるを得ないことに耐性ができるのかもしれないです。

私には全然ない資質です。

 

登場人物は大きなドラマがないのに淡々としています。

いえ、本当はとってもドラマチックな出来事がこれでもかっていうくらい続くんです。

それなのに、大騒ぎせず胸にしまって一人自分で折り合いをつけている人が多い。

どんな人も表の顔とは別にドラマを持っているんだと思わせます。

 

物語がとてもおもしろく、登場人物の描写もていねいで一気に読ませる小説です。

自分は境遇、家族、環境、運に恵まれていたと感じます。

別の人の人生を小説で辿り体験し、傍で見とどけたような気持ちになりました。

 

小説がおもしろい

図書館で桜木紫乃さんの作品をリクエストすると短編集もありました。

2020年の優秀短編を集めた物に彼女の作品も入っていたのです。

 

日本文藝家協会編 現代の小説2020 『短編ベストコレクション』

徳間文庫で毎年出しています。

桜木さん今でも精力的にお仕事しているんです。

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15名の作家の競演

30分くらいで読める作品が集めてある短編集です。

桜木紫乃さんの作品を一番に読んだのですが、

その前後の作品も読み進め結局全部読んでしまいました。

おもしろい!!

知らない作家さんも多いけど、どなたも短編の名手だと思います。

読書の楽しみ、コロナ禍の秋の夜長、ステイホームの楽しみを見つけました。

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畑にあったこれは何?

Audible版も映画化されたDVDもありました。

ホテルローヤル

 

 

ラブレス