『天台小止観』を読む
岩波文庫にあるそうですが、
調べたら絶版のようで中古で高価で取引されています。
坐禅を学びたいと思う初心者にとって、最上のテキストであると言われ、また坐禅のやり方を教えた書物のなかでは、一番古い時代にできたものであり、一番詳しく書かれたものである
という本で、南嶺管長は14歳の時にラジオの講座を1年間聴いて感銘を受けたそうです。
私がまだ十四歳の頃であります。
NHKラジオ宗教の時間で、松居桃楼(とうる)先生が講義されたのでした。
人はなぜ死ぬのか、というのが南嶺管長の子供の頃からの疑問でした。
そして松井先生も同様に「死」について悩んだ末に『天台小止観』にたどり着き、
人間が心安らかに生きるための大切なことを見つけます。
松居先生の講義はわかりやすいです。
仏教で言う悟りを開く道は、いろいろあるけれども、止観の修行こそ最も近道だということです。
この止観ということを、松居先生は、
「感情を波立たせないこと」と
「思考力を正しくはたらかせること」
と解釈されています。
端的には
人間にとっての一番大切なことは、「感情を波立たせないこと」と「思考力を正しくはたらかせること」ーつまり止と観という二つの機能を正確に操作することに尽きる
座禅をすることはそのためだとも言えます。
それでも難しいという人のために、
日常でできることがあります。
いつでも、どこでも、なにものにもほほえめるような人になろうするのです。
最後にこんな言葉を教えて下さいました。
一粒でも播くまい、ほほえめなくなる種は
どんなに小さくても、大事に育てよう、ほほえみの芽は
この二つさえ、絶え間なく実行してゆくならば、
人間が生まれながらに持っている、
いつでも、どこでも、なにものにも、ほほえむ心が輝きだす
人生で、一ばん大切なことのすべてが、この言葉の中に含まれている
今までの管長日記の中でも繰り返し教えて下さいました。
日常の作務、たたずまい、
そして笑顔で明るく過ごすこと。
それが大切なことを日々学んでいます。