女性作家の本を読む会
元司書の方が、自分たちの生き方のヒントになるような女性作家の本を紹介してくれます。
本を読まなくても参加できますが、お話を聞いた後は取り上げられた本を読みたくなります。
この会の後で角田光子・石井桃子・永井路子などの本を読みました。
有吉佐和子
前回お話が面白かったので、続いて有吉佐和子の作品を取り上げました。
有吉佐和子は作品の中にさまざまな女性を登場させますが、その登場順に意味がるようです。
前回の作品で取り上げた女性に物足りなさを感じて、次の作品にはもっと深く豊かな人物像をつくりあげているのでは、ということです。
伝統と革新の対比が大きなテーマです。
家や伝統を守ろうとする女性と、家を離れ否定する女性。
何でも持っているのに何もしようとしない女性と、家柄などのバックグラウンドなしに自分で経済力をつける女性。
女性が自分の力(経済力を含めて)で立つこと、自分の意見を持つことの大切さを書きたかったのではないでしょうか。
そして、伝統を壊しただけでは駄目で、その上に新しいものを築くには次の世代の登場を待つこともあります。
『紀ノ川』などの川シリーズでも、何代にもわたっての女性が描かれます。
その作者の目は、おろかでものにならないような女性にも温かいことも注目したいところです。一途で純粋なのです。
それは、和歌山ゆかりの有吉の作品に登場する女性たちに「安珍と清姫」の清姫のイメージと重なります。
その一途さが拒絶された時の、豹変のしようはすさまじいのですけどね。
女性の生きにくさ
恵まれた家庭に育ち、才女と呼ばれてメディアにもたくさん登場した有吉佐和子ですが、女性の生きにくさも身に染みて感じたと思われます。
だから、男に負けず力強い女性が登場するのかもしれません。
女性だから生きにくいのではなく、人間が生きていることはそれ自体「苦」であるというのが仏教の教えですね。