70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

『なんでも見つかる夜に、心だけが見つからない』東畑 開人著 心理セラピーが必要な社会

今の社会の悩み

カウンセリングルームを開いている著者が

たくさんのクライエントの悩みに共通するものを見つけます。

それは現代に生きる誰にも共通する不安です。と名づけます。

 

 

堅固だったはずの社会がドロドロと溶けて、まるで荒ぶる海のように不安定は場所になりました。

そういう社会を、僕らは今にも壊れそうな小舟一艘で後悔しなくてはならない。

 

その小舟は自己責任の名の下、一人でサバイブしなくてはならない

 

この自由で過酷な社会を「いかに生き抜くか」を教えるのがカウンセリングルームの役割

 

 

封建的だったり全体主義は、大船にみんなで乗っている状態と言えます。

そういえば大乗仏教も、大きな舟にみんなで乗って浄土に行く風景。

密教はそうでなく自分で修行するように思っていたけど、

日本の伝統仏教は全部大乗仏教なのだから、

密教大乗仏教ってことですよね。

 

伝統仏教という大船にも、今の若者たちは乗らなくなっています。

若者でなくても、私だって何にも乗っていないと言えるかもしれないのです。

そういえば子どもの頃、「家族会議」をした覚えがあります。

民主的な家庭を作ろうと言うことで、

学校がそういう教育をしてきたのです。

少しも民主的では我が家で「会議」をしたくらいなのだから、

日本中で「家族会議」をして民主主義を広めようとしてたのではないかしら。

 

そんな風に戦後アメリカ主導(たぶん)の教育を受けて、

封建主義や伝統宗教を教育的には押しつけられなかった私たち。

でも親世代の価値観はおいそれとは変わらなくて、

相変わらずの「世間体重視」で「男尊女卑」のまま。

そんな狭間で成長してきて、確固とした価値観を作らないで来てしまったのかしら。

 

今も価値観は多様化、個別化してきて、

小舟で漂っている人が多いという状態だというのでしょうか。

 

誰もが疑いも持たず親の職業を継げば良い時代から、

会社に入って定年まで勤める時代を経て、

今は先が見えない時代となったのでしょう。

女性も働くのが普通になり、

それが一つでなく複業まで考えなくてはならなくなっている。

使われるままでなく「起業しましょう」と追い立てられたりする。

 

心理士のセラピーを必要とする人が

量産されている時代になってしまったのでしょうか。

 

本の中でモデルとなっている架空のカップルですが、

何年もセラピーを受け続けています。

そのくらいだからお金に困っているわけではないけど、

セラピーを受けずには苦しくてたまらないのです。

セラピーを受けられない人の方が多いんでしょうね。

家に引きこもったり問題行動を起こす人も。

 

こんな所にもカルト宗教のつけ込む余地があるのかもしれないです。