70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒 著 目が見えるか見えないかでなく人間の問題

自分を見つめ直す

著者は全盲の白鳥さんとアートを巡る旅に出ます。

美術館巡りでもあるのですが、

自分の価値観や生き方を見直す旅にもなっていきます。

 

絵画や仏像、現代美術を前にして会話をしていると

新しい世界の扉がどんどん開き、

それまで見えていなかったことが見えてきた。

アートの意味、生きること、

障がいを持つこと、一緒に笑うこと。

白鳥さんとアートを旅して、

見えてきたことの物語。(カバー袖より)

 

本の表紙からグラフィックの多い気軽なアート紹介、

障がいの方と行動するときのハウツー本かしらと思っていましたが、

中身は内省的な重い内容でした。

 

きっかけはわからない

この本を図書館にリクエストしたきっかけは忘れました。

予約の順番がやっと回ってきて、私の後にも6人が待っています。

そんなに話題になった本だったのかしら。

ノンフィクションの賞も受けています。

Amazonの紹介で

「岸田奈美さん(作家)推薦」とあるので、

南嶺管長と岸田さんとの対談で紹介されていたのかもしれないです。

視覚障がいの方の実際を知りたくてリクエストしたような気がします。

障がいの方とお会いする機会が増えて、

どんなふうに振る舞ったらいいのかヒントを探していました。

 

人間の問題

障がいの方といってもそれぞれだということです。

本の中の白鳥さんは障がいの方を代弁しているのではなく、

本当に個性的な方なんです。

一緒にアートを巡る旅をする著者は、

そこで出会うのは自分の過去だったり価値観です。

差別や偏見は良くないと意識して行動してきたつもり、

でも出生前診断の結果に頭を抱えたことの意味。

白鳥さんが「晴眼の人とおなじようにふるまいたい」と思う気持ち。

そんなあれこれが、心の中にどうしようもなくある偏見だと気がつきます。

 

白鳥さんは「誰にもある偏見、程度の問題じゃないですか」といいます。

だからって許されていいのではないですが、気持ちが少し楽になります。

 

視覚障がいを含めた障がいといわれる「機能の不全状態」

誰にでもいつでもなり得ると思います。

私もそのうち視力が落ち、本も読めなくなるかもしれません。

そんな私の少し先を行って、それでも豊かに自分らしく生活していく知恵をもっている先人たち。

そんなふうに思っています。

 

人間に出会っているのです。

今見えていることが幸せ