ゴールの決め方
副題に「コロンビア大学の成功の科学」とあります。
この本にはゴール(=成功)に向かうための方法が書いてあります。
様々な実験をして、目的を実現させるのに効果の出た方法です。
その中におもしろい考察がありました。
目標には2つのタイプがあって、どのどちらを選ぶかで到達率が大きく変わるというものです。
1 証明ゴール:「自分にはそれをする能力がある」「私はやり方を知っている」事を証明すること
問題点=未知の課題や難しい課題に取り組むときには逆効果になる可能性がある。
どうしてか=正しいことをやっているか、本当にできるか不安になる。
能力を発揮することを阻害する最大の要因は不安感。不安感こそが能力発揮の最大の敵
2 成長ゴール:「能力を伸ばして、今までできなかったことをできるようにする」を目的の焦点にする
優位点=失敗の落胆から守ってくれる味方になる
理由=目標に向かっているとき、そこで出会う困難を「学び」の視点で捉える から、
失敗しても「また、ひとつ学んだ」と思えばがっかりすることなくモチベーション維持。
結果=不安がなく失敗しない確率が多くなる
緊張感と充実感
証明ゴールを追求するときは、完璧を目指し失敗する不安から緊張感に襲われます。
それがミスを生じさせ不本意はパフォーマンスを終わることになりやすい。
成長ゴールでは、成長する実感から仕事を楽しみ喜びさえ感じることができます。
成長を実感する充実感は「完璧」を目指す緊張感とは別物だということです。
仏教と共通する真理
人間が苦しむのは将来への「不安」からです。
座禅や呼吸法は不安から来る「緊張感」をほぐすのに効果的です。
生きていることは「苦」ばかりである、「煩悩」「執着」は消そうとしても消しきれないという仏教の人間観は、「完璧」など求めても無駄だという教えとも言えます。
執着を無くそうと思い続けることが、本来持っている「仏性」へ近づく道です。
仏教の修行は「能力を伸ばして、今までできなかったことをできるようにする」
成長ゴールを目指す道だと思います。
だから、自分の体や心を観察して、できたことを丁寧に発見していく
「成長を実感する充実感」を感じることができていくのではないでしょうか。
そこに「苦」から逃れて「安心」を得る道があります。
アメリカの自己啓発本を読んでも、仏教の教えと相通じるものがある、
真理は共通なんだという思いがまた深まりました。