70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ著 今も続く男尊女卑

韓国の女性の現状

この本は韓国でベストセラーになり、日本でも多くの書評で取り上げられました。

私も広報の仕事で内容を知り、読みたいと思ったのです。

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

 

 現代韓国に生きる30代女性の物語です。

食べるものも衣服も、何もかも男の子が尊重されて育ちます。

母親は、自分が兄弟のために教育を受けることができず夢も諦めたので、

女の子にも教育を受けさせることは、断固主張して認めさせます。

 

でもそうして入った大学では飾り物扱いされ、就職では露骨な女性蔑視にさらされます。

理解ある夫と結婚しても、出産育児では仕事のキャリアを捨てるしか方法がありません。

一つ一つ自分で納得して選択した道でしたが、次第に心を病むことになるのです。

 

日本も根底は同じ

日本の一昔前と同じだと思うところがあります。

男性によるセクハラが社会的に大目にみられるのは、日本では今では少なくなったのではないでしょうか。

でもまだ、儒教的な男尊女卑の精神は、気づかないところにまだ潜んでいるでしょう。

男子が先で女子が後の名簿順も、なにも疑問を持たない学校生活でした。

クラスの中で委員は男子、副委員は女子というのは今は変わったのかしら?

 

女性が我慢してきたこと

 自分より誰かを優先する、そういう生活を女性は強いられてきたように思います。

男性は家族を養うとかのプレッシャーはあったかもしれませんが、自分中心で自分が一番大事で通して来られたのだと思います。

後の始末とか、細かい処理は誰かがやってくれるもので、目立つことだけやっているのです。

 

そんなあれこれを考えていると、気が滅入ってきます。

 

読後感

物語に引き込まれて一気に読み終えましたが、読後感は重いです。

女性の置かれている立場のあれこれを、否応なしに思い出させます。

「親の世代はもっと大変だった」

「これくらいのことはマシな方だ」

という反論もあったそうです。

 

でも、一人の女性が自分の人格を無くしてしまうまで追い詰められる現実がとてもリアルに描かれています。

韓国だけの問題ではないから、世界中で読まれているのです。

 

痛み分けでいいのか

男性にも厳しい現実があるのだ、

出産育児を放棄していいのか、という意見もあるでしょう。

男性も同じ痛みを味わうべきだというのではありません。

 

どちらも傷つかず尊重し合えるようになるのが理想です。

ただ、今のままでは女性は安心して子供を産めないことは日本でも同じです。

少子高齢化は、この現実の前には当然の帰結だと思ってしまいます。

 

少しずつでも、良い社会になって欲しいと痛切に感じました。

この本をたくさんに人に読んでもらいたいです。

特に男性に。

世の中の娘達の父親に。

 

これはあなたの娘の物語なのです。