70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

いい味を出す 人としての魅力とは 加賀美幸子さんがあこがれです

録音を終えて

本を一冊録音し終えました。

読んで、聞き直して、訂正して、また聞いて。

一度読んだだけでは読み取れなかった、著者加賀美さんの心が深くわかるようになりました。

忘れないために、ブログに書き残します。 

ことばの心・言葉の力 (小学館文庫)

ことばの心・言葉の力 (小学館文庫)

 

 

なんともいえない

農作業にたくましく従事する女性達が、伝統の郷土食を作りその味を

「なんともいえない旨さだよ」と誇らしく繰り返します。

その言葉に加賀美さんは、言葉や説明を越えた魅力が潜んでいると直感します。

何ともいえない何か・・・ただ旨いだけでない、ただ美しいだけでない、ただ知識があるだけでない、ただ鋭敏なだけでない、ただ巧いだけでない何か・・・・。

加賀美さんはそれを、自分の職業にも引きつけて考えます。

 読むこと一つを取り上げても、引きつける何かを表現できる人と、ただきちんと読むだけに終わってしまう人がいる。

 その何かがあるかないかで、どういう何かがあるかで、人でも物でも技でも、魅力において大きく変わってしまうのである。

 

ただきちんと読むだけの人、ここでとどまってはいけないのですね。

 

加賀美さんの読みが魅力的なのは、この何かがあるからなのです。

それは、準備できるだけ準備し、練習を積み重ね、自分の頭で考え、自分の心で感じることをいとわず生きてきたからなのでしょう。

その人がいると、その物があると、その技に接すると、何だか嬉しくなる、何か伝わってくるものがある。 

いつまでも聞いていたい読み、私が目指していて、加賀美さんがそのお手本だと思う読みなのです。

とっても難しい。

それは決して曖昧なものではなく、深い所から醸し出される、その人のあり方、物のあり方、技のあり方から来るものなのであろう。

 

曖昧でないとは、まず技術と努力に裏付けされた確かな安定感だと思います。

深いところから醸し出されるのは、長く生きてきたものの得意な部分のはず。

 

いい味を出して、その人といると楽しいと思ってもらえる人になりたいです。

 

校正作業

録音を終えたら、校正作業です。

アクセントや誤読、間の取り方など訂正がたくさんあります。

パンチインといって、その部分だけを録音し直すのですが、

前後とのトーンをそろえるのが難しいです。

 

読みの早さも、読みの最初は慎重ですがだんだん読み進むにつれて早くなりがち。

口中音、滑舌の甘さ、なんとかなるのかしらと不安にもなります。

 

一冊を通して録音してみて、自分の音訳技術の未熟さがよくわかります。

 

わかったところからまた、次のステップに向けてスタートです。

次はどの本を読もうかしら。

楽しみは続きます。