70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

モンゴメリの日記が面白い 結婚できない人を愛すること

モンゴメリの日記

アンシリーズで有名なモンゴメリの日記が刊行されています。

面白くて図書館にあった二冊を一気に読んでしまいました。

『19歳の決心』18歳から22歳

『愛、その光と影』22歳から26歳

 

生前50年にわたって書かれていた日記は、遺言によって50年公開禁止になっていました。

関係者がほぼいなくなってからこそ、真実の内面をさらけ出せるのです。

プリンス・エドワード島の少女 (モンゴメリ日記)

プリンス・エドワード島の少女 (モンゴメリ日記)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 立風書房
  • 発売日: 1997/10
  • メディア: 単行本
 
モンゴメリ日記〈1897~1900〉―愛、その光と影

モンゴメリ日記〈1897~1900〉―愛、その光と影

 

彼女が周りの人たちをどんな風に感じていたか、作家になりたいという夢をどのようにして実現していったかが詳しく書いてあります。

 

当時のカナダの時代背景、宗教事情、地方の生活の家族関係なども鋭い観察眼でもって描写しています。

 

複雑な恋愛

恋愛についても他の人には話せないことを、日記の中にだけ吐露しています。

「日記に書かなければ、私はいつか粉々になってしまうだろう」と書いています。

 

彼女は婚約者がいながら、他の男性との愛にのめり込みます。

婚約者はハンサムで教養があり、将来も約束された理想的な男性。

でも、うぬぼれやでモンゴメリは一緒にいるのが苦痛。

愛人は一見ハンサムではないが魅力的な顔立ち、教養や知性はまるで持ち合わせていない。

 

モンゴメリは結婚するならこういう人だろうと求められるままに婚約してしまいますが、すぐに

「私はこの人を好きになれない」

「絶対に結婚はできない」

と気がつきます。

傍にいるだけで嫌悪感でいっぱいになります。

でも、数ヶ月間言い出せなくて苦しみます。

 

愛人は、会えばどうしようもなく惹かれてしまい抱き合うのですが、

「この人は私の結婚相手にはふさわしくない」

「結婚しても長続きするはずはない」

と実らない愛に苦しむのです。

 

その苦しみは誰にも話せず、平然と毎日教師としての仕事をこなすのです。

 

日記の中だけに、心のおもいの丈を書き綴ってあり、私たちは今それを読むことができるのです。

 

理性的だと思ってたモンゴメリが、そんなにも情熱的で大胆な恋をしていたのに驚きました。

頭で考える以上のエネルギーというか、説明できない衝動に身体も心も動かされるのですね。

 

作家として

他にも自分の文章が掲載され、初めは無報酬だったのが原稿料をもらえるようになるようすもつぶさに記録されています。

子供の頃からの夢だった、作家として有名になることを一度も諦めません。

投稿作品が小切手になったことをラッキーという人たちに、

「その何ばいも悔しい思いをしているのを知らないんだわ」と日記に書きます。

周りの人たちを観察し、ドライブなどの社交や自然を楽しみ、試験では努力してよい成績を取ります。

それを日記につぶさに書き留めることが、作家となったときに資料として参考になったに違いありません。

今の私たちにも、モンゴメリの作品を読む手がかりになります。

登場人物が実際のどの人の性格をモデルにしたか、って考えると面白いです。

 

私は、「青い城」のヒロイン思い出しました。

粗野だと思った人が結婚してみると、自分が大好きな本の著者だったのです。

モンゴメリも自分の愛した人が、本当は教養ある人だったらどんなによかったでしょう。

青い城のヒロインはモンゴメリの、

こうであった欲しかった

という願いが書かれた物語ではないでしょうか。

 

実際には幸福な結婚生活ではなかったモンゴメリは、日記と文通相手との手紙にだけ真実の心を打ち明けたのだそうです。

 

作家としては、幸せだったのでしょうか。

小説の中では登場人物を幸せにしたかったはずです。