樹木希林さんのことば
ネット版の朝日新聞に「所有しない人生を選んだ」人として、樹木希林さんの記事が載っていました。
樹木希林さんが大事にしていた言葉として紹介されていたのが「座辺師友」です。
優れたものや人を身近に置いていると自然とそのことが身につく。周りのすべてが師であり、友であるとの意味だそうです。
そこで思ったのは、音訳ボランティアを始めてから出会った人たちのことです。
60歳半ばで新人さんとして仲間に入れていただきました。
思いがけず昔の知人もいましたが、実際に指導してくださる方や一緒に活動するのは始めて知り合いになった方たちです。
その方たちが、私にとって「師」です。だんだん「友」にもなっていけるでしょうか。
本と活字が好き
音訳で知り合った方たちは、まさしく「師」と呼ぶに値します。
総じて感じるのは、皆さん本と活字が好きで知識も豊富だということです。
若いときから参加して精進してきた方は、プロ級です。
はじめのイメージでは、音訳をする方はおしゃべりが好きで明るい感じだと思っていました。
でも実際は、人としゃべるより一人で本を読んでいるのが好きって感じの方が多い気がします。
ご自分が本を読むのが好きだから、目が不自由な方の本を読む楽しみのお手伝いをしたい、そう思うのではないでしょうか。
昨日も対面朗読で利用者さんを待つ間にした雑談が、とても楽しくて気持ちをゆさぶられました。
どんな本を読んでいるかをお話ししていて、著者の名を出すとお互いすぐにわかるのです。そして、
「実用書ばかりでなく、たまには難い本も読む必要がありますよね」ということで書名を出し合うなど気持ちのいい会話が続いたのです。
こういう会話をしたのは久しぶりでした。
飛び込んだ音訳活動で、こういうお仲間に巡り会えた幸福を実感しました。
中身と人間味が問われる
視覚障害の方とお目にかかる機会が増えました。
目が見えない代わりに、他の感覚がとても鋭いようです。
そのとき自分を省みます。
白髪とかシミしわと、外見の老化にあらがう気持ちが小さくなります。
中身が問われますから。
きっと声の調子や語彙の端々に、人間性まで表れるでしょう。
服装も、かっこつけたヒラヒラは必要ありません。
とっさの時にお手助けできるように、足下は歩きやすい靴です。
シンプルに中身で勝負です。
自分で選ぶ環境
目に見える肉体は老化しても、精神とか心の老化は別です。
自分で止められます。
怠惰に向かえばどこまでも落ちてしまいそうです。
マインドフルネスでは、すべてを判断なしに受け入れるとしますが、よき「師」よき「友」を求めることとは矛盾しないです。
自分の周りに「師」と「友」を置いて暮らせることは、何よりの財産になります。
たくさんを欲しがることは必要ありません。
選びとりながらの環境作りです。
「座辺師友」いい言葉を知りました。