いさぎよさ
物語の終盤アンは奨学金を得ての大学進学を諦め、地元にとどまることを決心します。
長い間の夢で、必死の勉強の末に手が届いた幸福だったのに。
私だったら、悔しくて受け入れがたい、そして受け入れたあとはぐずぐずと気持ちを引きずってしまうだろうと思います。
その執着のなさに、インド哲学との共通点を感じました。
ギーターの「たまたま入ってきたものに満足する」と共通する境地です。
自然災害の多いインド、そして医療が行き届かなかっただろう昔、人々はこんな風に考えて生きることを続けていたのでしょう。
ライバルとか逆境
「具体的にライバルの身体があるという状況は、脳の本気度を強くする」のだそうです。
想像力よりも、具体的な現実に人は大きく影響されます。
だから、本を読むのも大事だけれど、ライブ(人に会ったり実際に行動する)ことの方が、より自分を変えてくれます。
アンはギルバートというライバルがいて、勉強に励みます。
幼いころの子守体験が、親友の妹を助けます。
批判家のリンド夫人に失敗を皮肉られても、次は失敗しないと決心するしなやかさがあります。
気に入らない人に出会うと、ついつい避けてしまいたくなりますが、その人が持つ自分とは違う資質を客観的に見ることができたら、気持ちが楽になれそうです。
マインドフルネス
物語の登場人物は個性的です。
アンもよく失敗もするし、コンプレックスからの逆上などの欠点もある少女です。
でもだれも否定的には書かれていません。
どんな人もその個性が尊重され、互いが影響し合っています。
だから、茂木さんは『赤毛のアン』の物語にはマインドフルネスが実践されているというのです。
好き嫌いの感情にとらわれず、排斥・無視するのではなく、あるがままを認めることがマインドフルネスです。
インド哲学の流れからくる瞑想の一種で、最新の脳科学で「ストレス軽減」「集中力アップ」「自律神経回復」などの効果が実証されています。
今を生きる
『赤毛のアン』・マインドフルネス・インド哲学に共通する考えとして「今を生きる」があると思います。
そういえば、断捨離もそうです。
いろいろなことがつながってきて、うれしくなってきます。
まだまだ、心はコロコロ転がって、不安や怒りに振れてしまいます。
でも、めざすこと、心の持って行き方はだんだんわかってきました。
今を誠実に生きたいです。