読書室とは
元司書の方を囲んでのきらくな集まりです。
本のテーマは決めますが、事前に読んでくる必要とか宿題はありません。
Sさんは高校で司書をしていましたが、高校生との間で会話が成り立たないのに悩んだそうです。本を薦めたいのに、聞く耳を持たないというか、とっかかりがなくてこちらを向かせることができないとか。
退職した今は女性たちの集まる場で、自分の好きな女性作家やその作品を語ることができるのがとても幸せとおっしゃっています。
読書室を企画運営しているのは「すてーじ・刻」というスペースです。女性が自分たちの「見たい・知りたい・楽しみたい」を実現するというコンセプト。
これからのイベントに参加ご希望の方は、HPからお問い合わせください。
基本3か月に一度
以前は2か月に一度だったのですが、Sさんは周到に準備をなさる方ですので、体力的に大変だからと3か月に一度の開催になっています。
「かぐや姫」の物語を取り上げたときには、奈良の古いお寺とかゆかりの地を巡ってその場にたってみたりしたそうです。
今回は永井路子さんを取り上げて
「すてーじ・刻」のHPに載せる文章を書いたので、ここでも紹介します。
6月28日の読書室では、永井路子を取り上げました。
まず彼女の生い立ちと家族関係をじっくり解説しました。複雑な大人の事情があり、自立心が旺盛だったことなどが、のちに作品で取り上げる女性や描き方に大きく影響していると思われるのです。
『茜さす』上・下巻 新潮文庫
時代物を多く書いている永井路子の作品の中ですが、『茜さす』は現代女性が主人公となっています。その中に奈良を舞台にした古代皇室の愛と権力争いの物語も繰り込まれています。若いヒロインとその友人たち、作者を投影したかのような物知りで知的な叔母さんなど多数の女性が登場します。タイプの違う家庭問題や恋愛問題を描いていますが、その悩みは古代の女性たちも同じように悩み苦しんだのではないでしょうか?Sさんは描いている女性たちの紹介をしながら、作者はどういう風に思って描いているのかを解説してくださいました。参加者は、作者の永井路子への関心もどんどん増していきました。
終戦時20歳だった永井路子は、価値観の大転換を体験します。生い立ちの複雑さもあります。本当のところは何かを模索し、女性はもっと有能で影響力があったのではと歴史を探求していきます。興味と魅力の尽きない永井作品に、次回も永井路子さんを取り上げることにしました。
他に取り上げた作品
『時代を旅する』杉本苑子と共著 『愛に生きるーー古典の中の女たち』『美貌の女帝』