70歳過ぎて自在に生きる ほいみんの日記

断捨離から、ヨガ・インド哲学・音訳へと関心が移っています。

『奇跡の脳』驚異的な回復と解析

TEDでのプレゼンテーションで感銘を受けた、ジル・ボルト・テイラーの『奇跡の脳』を読んでいる。
ヨガの行き帰りに読んでそのまま図書館のブックポストに返すつもりだったけど、家に持ち帰って再読。

単なる病気のドキュメンタリーではなく、人間の存在、成り立ち、心と身体の関係、個人の中の二面性、涅槃、幸福感、さまざまなことに科学的な考察をしている。

脳卒中を起こした時の患者の内面で起こっていることの正確な記述に驚かされる。

TEDのプレゼンテーションがこれだったのだけど、リハビリの初期段階で専門家の手助けを借りながらこの再現描写に集中的に取り組んだことが分かった。
脳のある部分が機能しなくなったときに、認識にはどのような障害が起こるかが詳細に書かれている。「厳しい訓練を受けた有能な神経解剖学者」ならではの解説・解析。

脳卒中患者として、医療従事者、介護者、家族、応援してくれる人々へのお願いが書いてある。音や光がどんなに苦痛を与えるか、温かい同情心に満ちた対応がどんなにうれしいか。患者のエネルギーを吸い取るような行為はやめてほしいと訴える。
これは、すべての人に教訓になる。

③左脳に障害を負ったひとへ対応のしかたを附録として列挙してある。

その一番最初は「私はバカなのではありません。傷を負っているのではありません。私を軽んじないでください。」とある。彼女の心からの叫びだし、多くの後遺症と戦っている患者さんの想いだと思う。これからは、この言葉をたびたび思い出して行動したい。

④右脳と左脳との役割分担。

「右脳と左脳はそれぞれにユニークな特徴を持っており、違ったやり方で情報を処理する・・・・別々の価値体系となって現れ、結果的に非常に異なる人格が生じる。」のだから、自分の人格と言うものだってあいまいなものだ。ましてや他人の人格をあれこれ決めつけることなんで、できない。

⑤「右の脳は全体像を感じ取り、自分の周囲や、自分の内部のすべてのものは、宇宙と言う織物に織り込まれたエネルギーの粒子で作られていることを理解しています。・・・・レイキ・風水鍼灸の技術や瞑想がうまくいく理由は、医学的には謎のまま。これは、いかに右脳が機能しているかという事実に、左脳や科学がいまだに追いついていないからでしょう。」と書き、「右脳の意識は、わたしたちが人類のために次の大きな飛躍をすることを強く望み、この惑星を、わたしたちがあこがれているような平和で慈愛に満ちた場所に進化させるために、わたしたちが右脳マインドに踏み入ることを期待している。」と結論付けている。

計算高く怒りっぽく、皮肉屋でねたみ深い左脳をコントロールする方法がいくつか披露されている。
 
90秒我慢すれば、怒りの感情はなくなってしまうとか、「今はそういう考えをしたくないから」となだめてしまうなど。

左脳の出番を時間で制限してしまうのも有効なようだ。

とにかく面白かった。

今日この本のことを話した知人、二人ともが読みたい、購入したいといったほど。

新しい知識を得てゾクゾクする興奮。
むつかしい内容を、こんなにも面白く書いてくださった著者・訳者に感謝。

生きて知識を得ることの幸福。

人生が楽しくなる。